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久慈記~Kujiki~

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阪神3連敗……内野の要がいない…

 昨日までの竜虎直接対決3連戦は、ご承知の通り中日の3連勝という結果に終わりました。

 これは中日ファンとして嬉しかった半面、ちょっと意外でもありました。オールスター前の3連戦は、チーム状態、その時点でのゲーム差などから、1つ勝てればいいと思っていましたが、この3連戦も阪神も表ローテで来ますし、1つか2つ勝てれば上出来だと思っていました。言い換えると「最低1つは負ける」と踏んでいたわけですが、それが山本昌と福原が投げ合った第2戦目だったんです。試合の展開も、先発福原を打ちあぐね、ようやく終盤追い付いたと思ったら勝ち越されるという、典型的な中日の負けパターンでした。

 しかし、阪神の守備の乱れから一気に形勢は変わり、7回裏に中日は一挙3点を奪い逆転勝利を収めました。そしてそのままの勢いで続く第3戦も勝利し、ファンでありながらもちょっと意外な3タテという結果になりました。

 昨年9月の直接対決で、延長戦となって守備固めの中村豊が放ったホームランが試合を決めたことがありましたが、この試合が2位に肉薄する中日の追撃ムードを断ち、阪神はこの勝利で勢いをつけてその後一気に優勝へと突き進んでいきました。まさに昨シーズンを振り返った時にペナントの行方を決定付けた試合となったわけですが、今回の3連戦の第2戦も、時期的にはまだちょっと早いですが、後で振り返った時にかなり大きな転機となる試合になるのでは、と自分は思っています。

 この直接対決を見て思ったのは、やはり中日と阪神の守備力の差でした。荒木、井端、オチョア、福留、英智、渡邉……とここ数年ゴールデングラブ賞に輝いた選手がズラっと顔を揃えているのもそうですが、阪神は直接対決ということで多少気負いがあったのか、全体的にぎごちなく、守備面においても基本的な事が出来ていない場面が目立ちました。

 その最たる場面が第2戦の7回の守備でした。まあこれは各方面でも散々論じられていましたから今さら書くまでもありませんが、ランナー一塁の場面でライトにヒット、そしてライト濱中が一塁ランナーを刺そうとサードへ送球、これが大きく逸れて、一塁ランナーが一気に同点のホームイン。その後、福留に勝ち越しのタイムリー、続くウッズにも犠牲フライを打たれてこの回一挙3点。まさにこの悪送球がその後の明暗を分けた結果となりました。

 記録上は濱中の悪送球ということになりましたが、送球が大きく逸れたのにサードの秀太がベースにへばりついたまま動かなかったり、投手のバックアップがなかったり…と、基本的な守備の連携のミスが致命傷となったのは言うまでもありません。

 また、その前の回のオチョアの同点タイムリーにしても、記録上はヒットでしたが、映像で見る限り、普通に捕球出来そうな打球でした。セカンド藤本は完全に追い付いてたんですから。

 中日は、こういう守備の面でのミスはほとんど見られません。落合監督はよく「ミスを多くした方が負ける。ミスをしなければ勝てるんだ」ということを言いますが、まさにその通りになった試合でした。

 落合監督は「投手を中心にしたディフェンス重視の野球」を標榜していますから、投手力の充実は勿論、選手も守備の巧い選手を好んで起用するので、必然的に守備力の高いチームになってきています(奈良原や上田、小田ら、今年から加わった新戦力が皆守備力が売りの選手ばかりなのはご存知の通り)。また、送球に難のあった荒木を1年目のキャンプで徹底的に鍛え上げ、今やリーグNo.1のセカンドに育て上げたのは記憶に新しいところです。また、エレベーター選手だった英智が頭角を現したのも落合監督が1年目から積極的に起用したからに他なりません。

 …で、ですね。

 何も自分は中日の守備を賞賛して阪神の守備を卑下するつもりでこんなことを書いているわけではないんです。この3連戦を見て、ちょっと大げさなこじつけになるかもしれないんですが、「久慈さんがいたら…」と思ってしまったのです。

 単純にグラブさばきが巧ければいいという問題ではありません。「守り」には状況判断力も必要になってきます。久慈ファンであれば、2004年の8月5日のあの試合…ランナー一・三塁のピンチに、シーツの打球を好捕し、サードの秀太に転送、ゲッツーを取って試合をモノにした久慈さんのあのプレーを覚えておられるはずです。あの場面の直前、久慈さんはサードの秀太に「サードに投げるかもしれないから準備しとけよ」と指示していたそうですが、今の阪神の内野には、こういうあらゆる事態を想定して守れる選手がいないのではないでしょうか。

 今の阪神の内野陣を見ると、個々の守備力は平均点を越えていても、やはり臨機応変に動くことが出来ていないような気がします。つまり、内野の要になるような人がいない。

 久慈さんが現役選手としてベンチにいてくれたら一番良いのですが、こんなことは今更言っても仕方ありません。久慈さんはもう引退されたのですから。では何故「久慈さんがいたら…」と思ったのかというと、それは選手としてでなく、内野守備コーチとして、鳥谷、藤本、関本らに指導をしてあげて欲しい…第二の久慈を育て上げて欲しい、と痛切に思ったのです。

 久慈さんは現在阪神タイガースのツテでアメリカで野球留学(?)中ですが、来季はどうなるのか分かりません。個人的には、当初言われていた二軍でではなく、一軍で、内野守備コーチをしてもらいたいと思います。

 星野SDも「将来指導者になる器」と太鼓判を押していた久慈さん。現場復帰が一刻も待ち遠しく思ったこの3連戦でした。

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by Izanagi32 | 2006-07-28 14:45 | 久慈照嘉関連

元・阪神&中日(現・阪神一軍守備走塁コーチ)の久慈照嘉ファンブログです。管理人はカープファンでもあります。


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