久慈照嘉監修 『遊撃手論』を読んで
先日刊行された、久慈さん監修・矢崎良一氏箸の『遊撃手論』(PHP研究所/1,400円(税別))を購入して、読了しました。
内容的には矢崎氏が遊撃手(ショート)に関する様々な疑問や質問を久慈さん、井端(中日)、宮本(ヤクルト)、西岡(ロッテ)らにぶつけていき、それをさらに久慈さんたちがお互いの意見を深く掘り進めて解説したり補足したりしていくいうもの。帯の「いま、あらゆる組織にショートストップ的人材が求められている」というのは大げさな気もしますが(実際ほぼすべて野球の話がメイン)、「名手」と呼ばれる人たちが、様々なことを考えてプレーしているのだということがよ~く解る本です。
久慈ファンであれば必読の本だと思いますので、まだ読んでいない方のために詳しい内容の転載はやめておきますが、ファンなら嬉しくなるような部分だけ一部抜粋してみたいと思います。井端の発言。
井端
「僕は久慈さんと5年間やらせてもらったんですけど、本当に良かったですよ。入ったときはいろいろアドバイスしてもらいました。
「あの人(久慈さん)は、僕が今まで見てきた選手の中でいちばんうまい。(中略)どんな衝撃かって、どうやって捕ってどうやって投げているかというのはわかるんです。でも、その動きときたら……たぶん一生かかってもできねえだろうなと思いましたね」
「久慈さんは魅せるプレーをしていた」
「キャンプとか、一緒に練習できる時に、後ろの方に回って、もう久慈さんが守っている残像がいつでも頭の中に出てくるくらい見てましたよ」
「まず、あの人の守備を真似しろというのが無理なんです。でも、真似するしかないです。できなくてもいいから、その動きをしていくうちに、どこかで自分のやりたやすいものが出てくるんで」
…久慈さんを師と仰ぎ、久慈さんの中日退団が決まった時には自ら球団事務所に「(久慈さんのつけていた)背番号6をください(当時井端は48番)」と電話をしたという井端。ゴールデングラブ賞の常連となり、誰もが認める「名手」となった今でも、「久慈さんの域にはまだ達していない」と以前言っていましたよね。嬉しいことです。
久慈さんがドラゴンズにいた頃から常々「同じドラゴンズファンでも久慈の守備の良さを解らんヤツとは野球の話はしたくない」と言っていた自分ですから、そういう人たちにこの井端の発言を聞かせてやりたいですね。
続いて宮本。
「やっぱり正しく足を使える人です。久慈さんも井端もそう。奈良原さんなんかもそうだった。あの人は肩が強いうえに足を使って守っていたから。久慈さんなんか、どちらかというと肩は弱いほうじゃないですか。でも、ショートでやれる。僕は久慈さんと奈良原さんというのが、すごく好きなショートなんです。足を使えたら、そんなに強肩じゃなくてもショートは出来るんですよ」
久慈・宮本って、世代が近いだけじゃなく、守備に対するこだわりとか考え方とかが似ているような気がしていたんですが、この本を読むと、それがよーく解ります。百戦錬磨の名手同士でないと理解出来ない世界を垣間見たような気分になる本です、これ。
肝心の久慈さんですが、愛弟子(?)である鳥谷に対してめちゃめちゃ厳しいのが面白かったです。一部抜粋してみると…。
「(ショートとして動きが)重たい」
「「目を通しておけよ」と言って、スコアラーが用意してくれた書類を渡します。でも(中略)ピンと来てないと思いますね。「はあ、たまに見てます」くらいの感じですから」
「もともとあんまり気が利く性格じゃない」
「チームプレーができていない」
「ショートとして物足りない」
…などなど。打撃の成長は年々著しい鳥谷ですが、これでは守備があまり上達しないのも頷けます…。
一方、「新世代の遊撃手」として挙げられることの多いロッテの西岡に対して、久慈さん、宮本、井端の3人が揃って「ショートに向いていない(かもしれない)」と言っているのも興味深いです。また、久慈さんや宮本は西武の中島には「守備はまだまだと評価の対象にしない」と突き放し、ホークスの川﨑に対して井端は技術的な問題を挙げ、「自分が監督なら川崎はセカンドで使ってセカンドの本多をショートで使う」と言い、ついには宮本は「ウチ(ヤクルト)にはいいショートはいない」と断言。
一方で、久慈さんが今12球団でいちばんいいショートとして挙げていたのが梵英心(カープ)。梵については井端、宮本も評価しているようです。伸び悩んでいるのはハートの問題だとか…(宮本談)。
また、久慈さんは中日の岩崎達郎を随分評価しておられますが、こちらは別ブログの方に詳しく書いたのでそちらをご覧下さい。
…とまあ、久慈ファンの方が興味を持たれそうな部分をいろいろ抜粋してみましたが、面白い本なので久慈ファンのみならず、野球、そしてショートというポジションに興味のある方は是非手にとって頂きたい一冊です。
内容的には矢崎氏が遊撃手(ショート)に関する様々な疑問や質問を久慈さん、井端(中日)、宮本(ヤクルト)、西岡(ロッテ)らにぶつけていき、それをさらに久慈さんたちがお互いの意見を深く掘り進めて解説したり補足したりしていくいうもの。帯の「いま、あらゆる組織にショートストップ的人材が求められている」というのは大げさな気もしますが(実際ほぼすべて野球の話がメイン)、「名手」と呼ばれる人たちが、様々なことを考えてプレーしているのだということがよ~く解る本です。
久慈ファンであれば必読の本だと思いますので、まだ読んでいない方のために詳しい内容の転載はやめておきますが、ファンなら嬉しくなるような部分だけ一部抜粋してみたいと思います。井端の発言。
井端
「僕は久慈さんと5年間やらせてもらったんですけど、本当に良かったですよ。入ったときはいろいろアドバイスしてもらいました。
「あの人(久慈さん)は、僕が今まで見てきた選手の中でいちばんうまい。(中略)どんな衝撃かって、どうやって捕ってどうやって投げているかというのはわかるんです。でも、その動きときたら……たぶん一生かかってもできねえだろうなと思いましたね」
「久慈さんは魅せるプレーをしていた」
「キャンプとか、一緒に練習できる時に、後ろの方に回って、もう久慈さんが守っている残像がいつでも頭の中に出てくるくらい見てましたよ」
「まず、あの人の守備を真似しろというのが無理なんです。でも、真似するしかないです。できなくてもいいから、その動きをしていくうちに、どこかで自分のやりたやすいものが出てくるんで」
…久慈さんを師と仰ぎ、久慈さんの中日退団が決まった時には自ら球団事務所に「(久慈さんのつけていた)背番号6をください(当時井端は48番)」と電話をしたという井端。ゴールデングラブ賞の常連となり、誰もが認める「名手」となった今でも、「久慈さんの域にはまだ達していない」と以前言っていましたよね。嬉しいことです。
久慈さんがドラゴンズにいた頃から常々「同じドラゴンズファンでも久慈の守備の良さを解らんヤツとは野球の話はしたくない」と言っていた自分ですから、そういう人たちにこの井端の発言を聞かせてやりたいですね。
続いて宮本。
「やっぱり正しく足を使える人です。久慈さんも井端もそう。奈良原さんなんかもそうだった。あの人は肩が強いうえに足を使って守っていたから。久慈さんなんか、どちらかというと肩は弱いほうじゃないですか。でも、ショートでやれる。僕は久慈さんと奈良原さんというのが、すごく好きなショートなんです。足を使えたら、そんなに強肩じゃなくてもショートは出来るんですよ」
久慈・宮本って、世代が近いだけじゃなく、守備に対するこだわりとか考え方とかが似ているような気がしていたんですが、この本を読むと、それがよーく解ります。百戦錬磨の名手同士でないと理解出来ない世界を垣間見たような気分になる本です、これ。
肝心の久慈さんですが、愛弟子(?)である鳥谷に対してめちゃめちゃ厳しいのが面白かったです。一部抜粋してみると…。
「(ショートとして動きが)重たい」
「「目を通しておけよ」と言って、スコアラーが用意してくれた書類を渡します。でも(中略)ピンと来てないと思いますね。「はあ、たまに見てます」くらいの感じですから」
「もともとあんまり気が利く性格じゃない」
「チームプレーができていない」
「ショートとして物足りない」
…などなど。打撃の成長は年々著しい鳥谷ですが、これでは守備があまり上達しないのも頷けます…。
一方、「新世代の遊撃手」として挙げられることの多いロッテの西岡に対して、久慈さん、宮本、井端の3人が揃って「ショートに向いていない(かもしれない)」と言っているのも興味深いです。また、久慈さんや宮本は西武の中島には「守備はまだまだと評価の対象にしない」と突き放し、ホークスの川﨑に対して井端は技術的な問題を挙げ、「自分が監督なら川崎はセカンドで使ってセカンドの本多をショートで使う」と言い、ついには宮本は「ウチ(ヤクルト)にはいいショートはいない」と断言。
一方で、久慈さんが今12球団でいちばんいいショートとして挙げていたのが梵英心(カープ)。梵については井端、宮本も評価しているようです。伸び悩んでいるのはハートの問題だとか…(宮本談)。
また、久慈さんは中日の岩崎達郎を随分評価しておられますが、こちらは別ブログの方に詳しく書いたのでそちらをご覧下さい。
…とまあ、久慈ファンの方が興味を持たれそうな部分をいろいろ抜粋してみましたが、面白い本なので久慈ファンのみならず、野球、そしてショートというポジションに興味のある方は是非手にとって頂きたい一冊です。
by Izanagi32
| 2009-09-14 11:36
| 久慈照嘉関連